2011年 11月 22日
女性はなぜ美しいか
価値相対論でドヤ顔するのはちょっと違うだろう女を美しいと感じるのはあなたが男だから、とか、美しさの定義をせずにこの疑問は成立しないとかいう説明には、全然リアリティを感じない。こういうみなさんは当然、クジャクやカブトムシやニワトリやライオンのオスがメスより派手であることも認めないのだろう。もちろん認めないのは自由だが、リアリティを感じない。私見ではクジャクのオスは、明らかにメスより派手だと思う。 ヒトの場合は、たしかにクジャクほど明らかではない。下の写真は2枚とも、KARAのみなさん。これだけ見ると、女性が生まれつき美しいのだとしても言うほどではなく、女性がとりわけ美しいのは人類が作り上げた女というフィクションを演じている間だけではないか、という気はしなくもない。個人の印象ですが。 そこで「女が美しいなんていうのは自然科学における事実ではなく、社会的な刷り込みに過ぎないのだよ」と言って話を終わらせる人も多いが、アホかと思う。「ねえお父さん、どうしてマスコミは吉松育美さんに対するケイダッシュやバーニングの不法行為の疑惑を一切報道しないの?」「はっはっは、タカシ、そんなのは自然科学における事実ではなく、社会的な現象だよ」って、こんな解答でドヤ顔できるお父さんって、アタマおかしいだろ。 それに、女を美しいと感じるのは男だけじゃない。女は女同士で美を競うので、女は男以上に、女の美しさに敏感だ。ツイッギーとかヘップバーンとかの歴史的ファッションアイコンに夢中で憧れたのも、男よりはむしろ女じゃないか。女を美しいと感じるのはあなたが男だから、というのは、明らかに事実に反している。 ヒトは、オスも選択権を持つクジャクのオスが性的魅力をアピールするのは何故なのか。それは、プロポーズする側だからだ。クジャクもニワトリもライオンも、派手で立派なのはオスだが、イコール「偉い」のではなく、逆だ。派手で立派なのは「媚を売る側」だからであり、決定権を持つのはメスだ。 卵子は精子よりも希少なので、大抵の生物で、相手構わず見境なくプロポーズする(種をバラ蒔きたい)のがオス、選択権を持って相手を吟味する(貴重な卵子を有効に使いたい)のがメスである。オスの方が派手なのは、「選ばれるため」だ。メスからアプローチする種も例外的に存在する(例えばタマシギ)が、タマシギはメスの方が派手な外見を持っている。 ヒトは複雑な生き物なので一概には言えないけれど、おおむねオスが「相手構わず見境なくプロポーズする」側であり、実際にオスの方が立派な体格で、ライオンのようなヒゲも備えている。ヒトが特異なのは「メスの方が美しい」点ではなく、「オスの方が性的アピールをする側なのに、さらにメスもメスなりの性的魅力をアピールし、メス同士で魅力を競う」点だ。 クジャクのメスなんて、選ばれるための努力をなんにもしてないが、ヒトのメスは違う。肌、髪、肘、膝、踵、爪、ムダ毛、匂いを念入りにケアし、マニキュアとペディキュアを塗って乾くのを待ち、複雑な下着で身体を包みひらひらした服を重ねて、顔にファンデーションを塗って肌理を整えTゾーンをハイライトし、コンシーラーでシミソバカスを隠しアイシャドウを塗りアイラインを引きビューラーを使いマスカラを塗り頬紅をはたき口紅を引き、髪をブローして髪を梳き髪をまとめ髪飾りを挿し耳飾りを装着しネックレスを着け、仕上げにコロンをシュッとやって奇妙な歩きにくい靴を選ぶ。毎日それはもう大変な努力だ。「ヒトだけがオスメス逆」なのではなく、「ヒトだけがメスも頑張る」のである。何故か。「メスだけでなく、オスの側にも選択権があるから」だ。 菊水健史は「ヒトだけが"資産の保有"ということをするので、ヒトのメスはリッチなオスに選ばれることが大事になったと述べている。「資産の保有」が原因で「リッチなオスに選ばれたい」が結果だと。それはどうかなあ。強いオスの種子をメスが欲しがるのはヒトでもヒト以外でも共通じゃないか。資産うんぬんとは無関係に「選ばれることが大事」な点がポイントだと思うんだけど。多くの動物のメスは、いいオスのプロポーズをただ待っているだけで、いいオスの種子をもらえる(このことの意味をオス側から言うと、多くの動物において、あぶれて子孫を残せない可哀想なオスはたくさんいる)。ヒトのメスは、欲しくても、選ばれないともらえない。 どうしてヒトは双方に選択権があるのか、理由はいろいろ考えられる。子育てにコストと年月がかかるので、メスはオスをつなぎ止めておく必要があること。同じ理由でヒトのメスだけがオスの浮気を怖れ、オスのヤリ逃げは許容されないこと。ヒトだけが自己意識を持つので、本能だけでルールが決まるわけがなく、双方に選択権が生じるのは当然だということ。何世代にもわたる集団生活をするので、あぶれるオスがあまりに多いと暴動が起きる(メスだけに選択権がある場合、一握りのエリートオスが集団内のすべてのメスを独占することになる)、ということ。何世代にもわたる集団生活をするので、あまりに異母兄弟が多いと(一握りのエリートオスが集団内のすべてのメスを独占すると)遺伝的にマズいこと。 ちなみに「メスだけに選択権がある場合、一握りのエリートオスが集団内のすべてのメスを独占する」というのは、集団生活をする生き物すべてに言えることだ。弱い遺伝子を淘汰するという意味で、それは基本的には悪いことではない。だがそれがあまりに貫徹されると、今度は多様性が確保できないという意味でマズい(多様性のない集団は、強そうに見えても疫病とかに弱い)。「発情期」の存在にはいろんな意味があるのかないのか知らないが、ひとつは、淘汰があまり貫徹されないための安全弁として働く。例えば皇帝ペンギンは巨大なコロニーを作って生活するが、発情期は一年の間のごくごく短期間だ(よく知らないことをてきとーに書いてます)。如何に生命力が傑出したエリートオスでも、短期間のうちにすべてのメスと交尾することはできない。そこに、弱いオスたちが子孫を残すチャンスが生まれる。ヒトのメスにも「生理が移る」という現象があって、やはり多様性の確保に役立つのではないかと考えられている。名著「ヘッピリムシの屁」に、そんなことが書いてありました。「生理が移る」としても、ヒトの場合は発情期というか妊娠可能期が年に12回もあるので、メスだけに選択権がある場合、一握りのエリートオスの独占可能性はより高いのではないか。 ちなみにヤリ逃げが許容されないのは人間だけではなく、雌雄共同で子育てをする生き物はいろいろいる。しかしそれは自分の遺伝子を絶やさないために本能でやってるわけで、別にメスがメスの魅力で引き止めているわけではない。期間もヒトに比べれば圧倒的に短い。20年にわたって子育てする、なんて生物はヒト以外にはいない。20年も拘束されるなら選り好みするのも当然だろう。 女性の性的魅力はなぜ、(ヒトから見て)美と感じられがちなのか。性的魅力と美しさの関係はよくわからない。華奢だとかたくましいとか優しいとか生活力があるとかギターがうまいとか、人それぞれいろんなことに性的魅力を見いだす中で、美しさも性的魅力のひとつだ。そう考えると、美は性的魅力の一部のように思える。しかし、美しさにもいろいろある。優しく可憐な美、というのも確かにあるが、力強さやたくましさだってずいぶん昔から美と考えられているのはギリシャ彫刻を見れば明らかだし、正義や友情や根性や献身も(『走れメロス』を読めば明らかなように)美談とされる。そう考えると、性的魅力は美の一部のようにも思える。 両者とも互いの一部だとしたら、あの、ふたつの円が半分ずつ重なったベン図で表されるような関係、ってことだろうか。「ヒト界では友情や根性や可愛いと並んで、"セクシー"も美とみなされる」と考えるのはどうだろう。かつ、他の生物に比べて"セクシー"の表現形が圧倒的に多彩である、とかなんとか。いや、ちょっとよくわからない。
by nobiox
| 2011-11-22 07:07
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