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「運命じゃない人」
★★★★★…めちゃくちゃおもしろかった

以下は、Amazonに投稿しようと思って書いたレビューなのですが、『運命じゃない人』という映画の存在自体を知らない人の目に触れる確率はここの方が高いと思うので、ハゲしく場違いながらここに投稿します。開幕して最初の投稿が野球の話題じゃないなんて、恥ずかしいぜ。しかし、この映画を観る人がこの記事のせいでひとりでも増えたら本望です。これで興味持った人は(もしそういう人がいたとして)Googleで検索したりしたくなるでしょうが、我慢した方がいいですよ。「予備知識なく漫然と見始める」のをおすすめします。



何の予備知識もなくTBSミッドナイトシアターで観て、始めは、冴えない男女がもそもそ動く起伏の少ない小津系映画かと思った。『珈琲時光』みたいな。そういうのが好物な自分としては、これがじつにいい。構図といい変な間の台詞廻しといいカット割りのタイミングといい、何故かいちいち気持ちがいい。小津系映画として出色の出来だ。桑田真澄と酒井敏也を足して2で割ったような中村靖日に魅力がある。「笑いのある珈琲時光」と言うか。

ところが(どうせ起伏ないんだからいいだろうと思って)シャワーを浴びて出て来たら犯罪映画になっていて、アレアレ? と思ううちに次々にパズルが展開し、パズルがハマる。かなり複雑だが、見事にわかりやすい。わかりやすいが説明的な部分がなく、あまりに見事なのでわかりやすさ自体に気付かず、ひたすら気持ちがイイ。練りに練った脚本。凄い。参りました。

ただ、構成の妙を追う快感があまりにアリ過ぎて、出だしに感じていた映画的味わいのようなものを、後半はすっかり忘れてしまった(私が)。もちろんこれは褒めてるんだが、微妙な不満でもある。「よく出来過ぎてる感」とでも言うか。監督は「大学時代に観た仲間うちの学生映画が、たるいものばっかりだった」「映画を撮りたい学生って、脚本よりも映像ありきの人が多くて、一本も面白いと思えるものがなかった」ので、だから自分は脚本重視、と語っているが、できればこの人の撮る起伏のない退屈なロードムービーなんかも観てみたい、と、贅沢なことも思うのであった。
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by nobiox | 2007-04-03 23:01 | ├映画 |
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