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『風の唄を聴け』
完璧な野球チームなんてものは存在しないわ。
完璧な絶望が存在しないようにね。

僕がバーテンダーのころ偶然に知り合った双児の姉妹は、僕に向かってそう言った。僕がその本当の意味を理解できたのは落合博満監督就任から、さらに1年以上後のことだったが、少なくともそれをある種の慰めとして受け取ることも可能だった。完璧なドラゴンズなんて存在しない、と。

しかし、それでもやはり球場で、或いはモニターの前で、僕はいつも絶望的な気分に襲われた。コントロール可能な領域はあまりにも限られたものだったからだ。例えば荒木と井端が光速エンドランを決めたとしても、クリーンアップはそれを返せないかも知れない。下位打線がチャンスを作っても、今度は荒木が見慣れた内野フライを打ち上げる。そういうことだ。もちろん、これは一般論だ。様々なゲームがまるで芝刈り機のように僕の前を通り過ぎ、そして二度と戻ってはこなかった。そんな風にして2005年、ペナントレースは終わった。

もちろん何ひとつ解決していないし、来年もあるいは事態は全く同じということになるかもしれない。結局のところ、ベースボールを見るという事は自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないのだ。正直に語ることはひどくむずかしい。僕が触れようとすればするほど、正確な事実は表層の裏側へと沈みこんでいく。

それでも僕はこんな風にも考えている。うまくいけばずっと先に、何年か何十年か先に、或いはもしかすると次に来る四月に、或いはその先の九月に、救済されたドラゴンズを発見できるかもしれない、と。その時象は平原に還り、僕は再びベースボールを語り始めるだろう。より美しい言葉で。
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by nobiox | 2005-11-12 02:07 | ├野球 |
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