2013年 05月 12日
リン・カーダゥン
カレーを食べると、たまに不思議な繊維質を噛むことがある。アレだ。苦くはないがスパイシーで、おいしいか、と言われれば微妙だが、少量を噛む分には不思議な魅力がある。アレが好きだ。松屋とかCOCO壱番館とかのジャパナイズド・カレーではそういうことはない。その繊維質は、インド系のカレー屋にだけ存在する。御徒町のデリーでも、たまに経験した。
今日、職安通りの「グレートインディア」で食べた680円(だったか?)のマトンカレーに、それが入っていた。だけでなく、その物質を特定した。小豆ぐらいのサイズで、提灯みたいな、カボチャみたいなカタチの種子だった。そーっと噛んでみると、間違いなくアレだった。 口から出して、まあいちおうなるべく奇麗に洗い、スプーンに載せて、会計する前に訊いてみた。これは、なんですか? カウンターの向こうのおっさんは困惑して目を宙に泳がせ、黙った。カウンター右手にいたホール係のハンサムが、するっとやってきて答えた。 「リ・カードゥン」 インド人ってどうしてあんなにハンサムが多いんですか。知ってる範囲で説明すると、マッツ・フメルスのような顔のお兄さんだ。その浅黒いフンメルスがカウンターに右肘をのせて、自信満々に、涼しい顔で、すごくいい声で、「リ・カードゥン」、と。 これまでに何度も噛んだことのあるアレだったから、聞けばわかると思っていた。が、わからない。どう考えてもブラックペッバーでもシナモンでもマスタードでもコリアンダーでもない。だからなんとなく予期していた答えは「フェンネル」か「クミン」か「ターメリック」だった。が、リ・カードゥン? なんだそれは。聞いたことがない。 僕の反応を見て、お兄さんも首を傾げた。「んー、ニホンゴでなんてイウのか、ちょっと・・・」 それでも3度聞き返して、悟った。「グリーン・カードゥン」か!!!!! 「グリーン・カードゥン?」 「そうそうそう。リン・カードゥン」 インド人は日本人の発音もけっこう柔軟に理解してくれる。その瞬間に気付きが訪れた。おお。そうか。 「わかった。ニホンゴでなんてイウのか教えるよ」 「うん?」 「グリーン・カルダモン」 「ああ。そうそうそう。リン・カーダゥン」
by nobiox
| 2013-05-12 22:53
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