2012年 02月 27日
「愛のむきだし」
★★☆☆☆……ちょっとおもしろい。
「敬虔なクリスチャンの3人家族。僕が小学生のとき、母は病に倒れ、天に召された。それから父は一層信仰に傾倒し、僕が高校生のとき、ついに神父となった。そんな父が、恋に落ちる」と、いうのが導入部のシークエンス。どうです、いい話でしょう。例えばクリント・イーストウッドがこれを撮れば、なにげない会話と日常風景の細かい襞に人生の陰影と希望が幾重にも織り込まれた、上等な、美しい映画になるはずだ。園子温はそうはしない。エロ・グロ・扇情を過剰に盛る。デフォルメされた感情表現、学芸会みたいな血しぶき、強烈なキャラとギミックとギャグテイスト。たしかに独創的だ。こんな映画は観たことない。そして、面白い。 「自転車吐息」も「紀子の食卓」もひたすら退屈としか思えなかったが、これは紙芝居のごとく説明的な描写で一連のできごとがぽんぽんと進行し、ネタはいちいちマンガ的で、退屈しない。また、説明的であることを、この監督は恥じない。説明が足りないと思えば臆面もなくモノローグで説明する。 こんな映画は観たことないと思う一方でどこか既視感もあり、「奇跡の出会い」の喧嘩の場面まで来て、気付いた。これは映画としては珍しいかもしれないが、小劇場の演劇だと思って観ると、割とありふれたテイストだ。あるいは、マンガ。羽生生純とか、しりあがり寿とか。 ずいぶん人気があるようで、何度TSUTAYAを覗いてもすべて貸し出し中になっている。そのせいでまだ上巻しか観てない。まあとにかく女子高生は可愛いしエロいし、2時間は退屈しなかったので、ある種の名作ではないか。Amazon の低評価のレビューを読むとほぼ全員が「後半の展開にがっかり」らしいので、この先あまりいい予感はしないけど。
by nobiox
| 2012-02-27 14:23
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