2003年のパンクバンド
なじみのうどん屋のバイトの女の子が、店を辞めるという。悲しい。僕と彼女は顔を合わせればうどんの話しかしないという、本当にストイックな関係だったけれど、辞めると聞いてはじめて、うどん以外の話をした。私の眉が薄いのは、パンクバンドやってた時に剃ってたからなんです、と、彼女は言った。村上春樹風にいうと、

六月にデートした女の子とは株式相場とか動詞の活用とかスエズ運河のことなんかを話し合った。僕が南極について考えている時、彼女はパンクバンドをやっていた頃に剃った眉のことを話していた。僕らは互いの名前すら知らなかった。

みたいなことだ。その日、僕ははじめて彼女の年齢を知った。26。そのときは、へえ、と思っただけで流してしまったけれど、後で考えると不思議だ。パンクバンド? パンクというのは、30年以上前に流行った音楽だ。そのとき彼女は、生まれてすらいない。

26歳の彼女が眉を剃ってバンドをやっていたのが、仮に8年前だとしよう。2003年。2003年にパンクバンドが存在したのか。2003年にパンクを好きな若者が、けっこういたのか。2003年の若者が「パンクが好き」と言った場合、そのパンクとは、例えば何を指すのだろうか。

1)セックスピストルズやスージー&ザ・バンシーズやテレビジョン
2)スターリンや割礼やペニシリン
3)リバティーンズやアークティックモンキーズ
4)ボウディーズやRADWIMPSやミッシェル・ガン・エレファントや、ええと、なんだっけ

この選択肢だったらどう考えても1か2だよな。3や4なら、眉毛を剃る、はずがない。

(後記:幸運にもランチタイムにご本人に会えた。「高校の時」「島根で」「教師の影響で」「ピストルズ」だって。なるほど。。。。。)
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by nobiox | 2011-05-31 03:51 | ├音楽 | Comments(0) |
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