都の性描写規制案、総務委で可決 15日成立へ - 2
池田信夫 blog - 「青少年」という幻想

東京都の青少年健全育成条例の改正案が、来週の都議会で可決される情勢になってきた。この問題についての石原都知事の発言は、あまりにもナンセンスで論じる価値もない。かつて「太陽族」などの新風俗の元祖となり、「価値の紊乱者」を自称していた石原氏が、エロ漫画の撲滅に熱中する姿は哀れをもよおす。
そもそもこの条例の求める「健全な青少年」とは何なのか。大人が「有害な表現」を指定して子供の目にふれないようにするという発想の根底には、子供は未成熟な存在で、「不健全」な情報を与えるとその発育が阻害されるという発想があるのだろう。しかし最近の脳科学の成果が示すように、このように子供を「保護」する発想は間違っている。
脳細胞の数は生まれたとき最大で、その後は減ってゆく。神経回路の結合も子供のとき最大で、脳は自由に活動している。大人になる過程は、既成概念や社会規範に合わせてシナプスの結合を「刈り込む」ことである。だからエロ漫画によって子供の脳が「不健全に育成」されることはありえない。性的な刺激に反応する回路はもともと脳の中にあり、漫画によって発生するものではないからだ。

石原慎太郎評については同感だけど、池田先生も、言ってる事が珍妙過ぎるんじゃないか。脳細胞の数やシナプスの結合数が子供のときに最大だからと言って、あらゆる想念、あらゆる感情が子供のときに最大に覚醒しているということには、全然ならない。エロ漫画で子供の脳がエロ方面に育成されることがあり得ないとしたら、「燃えよドラゴン」で格闘技に目覚めることも、ファインマン読んで科学に目覚めることも、練習によってスケートがうまくなることも、母親のスキンシップによって充足感を得ることも、公文で算数が上達することもあり得ないのか。んなわけねーじゃん。

何がおかしいかと言うと、成長過程が「刈り込み」であるならば、刈り込み前の方がリッチなはずだ、という論理がおかしい。成長が器質的には「刈り込む」ことだろうが「盛る」ことだろうが関係なく、成長は成長だ。仁王像が彫像(刈り込み)だろうが塑像(盛り)だろうが仁王像であるように。「この仁王像は木から彫り出された。つまり、もともと木の中にあったわけで、運慶によって発生したものではない」なんてことが言えるのは、小説の中だけだ。

内田樹の研究室 - 既視感のある青少年健全育成条例についてのコメント

東京都の青少年の健全な育成に関する条例の制定をめぐって、表現規制についての議論がさかんである。けれども、「有害な表現」とは何かという根本の問題は主題的には問われていない。
(中略)統計が私たちに教えてくれるのは、わが国が世界でも例外的に犯罪の少ない国だということである。殺人事件発生率は先進国最低である。ロシアは日本の22倍、イギリスは15倍、アメリカは5倍。2009年には日本は殺人発生件数で戦後最低を記録した。
少年犯罪も同様である。殺人、強盗、放火、強姦といった凶悪犯罪が多かったのは1960年前後であり、以後急カーブで減り続けている。だから、日本には欧米からも「どうしてこんなに少年犯罪が少ないのか」を知りに視察団が送り込まれてくる。
私の記憶する限り、強姦件数が史上最多であった1958年というのは「有害図書」に子どもたちが自由にアクセスできるような時代ではなかった。「有害図書」を売るコンビニもなかったし、エロゲーもポルノビデオもなかった。性に関する情報から子どもたちは隔離されていた。それでも性犯罪は起きた。ということは有害図書の流布と性犯罪発生のあいだに統計的な相関は見出しがたいということである。
現在世界で性表現についての規制がもっとも厳しいのはイスラム圏であるが、イスラム圏では他の国々でよりも女性の人権が尊重され、性的暴力が効果的に抑止されていると考える人は少ない。映画や漫画における暴力表現についての規制がもっとも峻厳なのはアメリカだが、そのせいでアメリカでは暴力が効果的に抑止されているという判断に与する人も少ない。
この事実から知れるのは、人が有害な行為を行うに至るには無数の要因がかかわっているということである。遺伝的形質も家庭環境も学校教育もメディアもそれに関与しているだろう。
もちろん政治文化もその一因のはずである。政治家たちが原理的な議論をネグレクトし、統計的根拠も示さずに重大な政治的決定を下すことが許される社会では、そうでない社会よりも人々が非寛容で攻撃的になる可能性は高いと私は思う。
この「有害政治家」たちのもたらす社会的災厄の責任は誰が取ってくれるのであろう。

これはうなずける意見ですね。

「規制条例反対派の論では推進派の論には対抗できない」渡邊芳之さんによる東京都の表現規制条例についてのツイート

メディアの表現が人の行動によくない影響を与えるという議論には何がなんでも反対したいという人がいるようだが,そもそもそれが誰かに影響を与えるからこそ表現というものが存在するわけで,悪い影響の存在は否定して良い影響しか認めないというのはかえって表現というもの自体の価値の否定だろう。

言葉や音楽や踊りやさまざまな表現はそれが人に影響を与えるから存在する。ある内容が人によい影響を与えるなら,他のある内容が人に悪い影響を与えることだって必ずあるだろう。

「良いものは認める」というのは自由ではない。「悪いものも認める」のが自由である。だから「悪影響などないのだから認めろ」という人が求めているのは表現の自由ではない。

もちろん俺は東京都の例の条例には反対だけど,それは「そういった出版物や表現に害がない」と思うからじゃなくて「害があるとしてもそれを容認するかどうかについて権力はできるだけ介入すべきでない」と思うからだ。

「有害であっても表現を規制すべきではない」という論を立てない限り勝ち目はない。どうしてそんな簡単なことがわからないのか。

これはうなずける意見であり、かつ、内田樹的な論に対する反対意見になっている。なるほどなあ。渡邊芳之という名前は今日はじめて知ったけど、僕はこの人好きかも。

◆◆

ところで、池田信夫も内田樹も渡邊芳之も、「表現規制に反対。すなわち東京都の条例改正案に反対」という点では一致している。それがよくわからない。今回の条例改正案は「表現規制」なのか? いまのところの僕の認識では「ゾーニング義務を課すという販売規制」なんだけど。
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by nobiox | 2010-12-14 02:30 | ├自分用メモ | Comments(5) |
Commented by とおりすがり at 2010-12-14 19:29 x
偶然、このHPにたどり着きました。
aboutの頁を興味深く拝読したのですが、一部真っ白で読めない
項目(ジャイロのところ等)あるのですが、バグなのでしょうか?
是非、読みたいのでブログ欄ですが、ご連絡申し上げた次第です。
Commented by nobiox at 2010-12-16 06:28
え、そうなんですか。
"とおりすがり"と名乗る方がまたこのページを見てくださる可能性は低いような気がしますが、
もしも見てくださったならばもう少し詳しく教えてください。知りたいのは
第一に現象です。何を見ると何がどう真っ白に表示されるのか、というような。
「一部真っ白で読めない項目(ジャイロのところ等)」では、全然わかりません。
なにしろ、私の環境ではすべて私の意図通りに見えるのです。
「項目」とは具体的になんのことですか。
どこかのアップローダでスクリーンショットなど見せていただけるとさらに助かります。

第二にそちらの環境です。OSとOSのバージョン、ブラウザとブラウザのバージョン。
Commented by 【お返事】通りすがりの者 at 2010-12-19 10:41 x
ありがとうございます。
普段野球関係のサイトを読んでるものです。
多分、ドラフト関係のどこかのサイトから「重い球」の
紹介リンクがあって拝読することになった次第です。

実は会社の仕事中に読んで、書き込みいたしましたが、会社のPCからは、「いい回転、ジャイロ、球威」の記事全てと、多分ヘドスライディングの一部が会社の環境では左のバーをクリックすると真っ白な画面になってしまいました。今自宅で見ると確かに全て読めます。会社のOSとブラウザは、また、会社に行って調べてご連絡します。でも、お返事いただいて助かりました。読めないページもあると既に諦めてましたから、再確認をする
機会を得ました。今から全て読まさせていただきます




Commented by 通りすがり at 2010-12-20 10:33 x
会社からアクセスしてみました。
ヘッドスライディング
いい回転、ジャイロ、球威
あらためて球の重さを考える
メモ・アメリカ篇
の項目がやはりクリックすると全て真っ白のページになります。
自宅では見れたのですが・・・。
OSはXP
ブラウザはExplorer7です。

Commented by nobiox at 2010-12-20 13:54
メールでスクリーンショットまで送っていただき、
貴重な情報提供、ありがとうございます。
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  「ヘッドスライディング」
  「いい回転、ジャイロ、球威」
  「あらためて球の重さを考える」
  「メモ・アメリカ篇」
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にあって、他にないものを探してみます。
が、難題ですね・・・なんだろう・・・
特に「メモ・アメリカ篇」なんて短いし、何も特別なものはないような・・・
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