勝間和代と「アンチ」と、ネガティブ・レビュー問題
「アマゾンのレビューが荒れやすい理由への考察~そしてアマゾンの対応についての報告」と、
勝間和代と乙武洋匡の違い(他人は変えられないが、自分は変えられるって話)と、
聖人の自己規範を引き合いにだして民衆に広くそれを求めるのはあまりに有害すぎる件と、
不當な行爲を排除して何が惡い - 鬱と躁の日々を読んで、考えた。(以下、9月12日に、けっこう書き換えました)


勝間和代さんの新刊が『不幸になる生き方』ほか数冊出版され、売れ行き好調だそうだ。ところが、Amazon でのレビューには酷評が多い。勝間さんは自身のブログでその理由を考察し、「アンチ」の工作だと結論しておられる。——と、いうのは嘘。じつは、「アンチ」の工作だということはほぼ疑問の余地のない前提として、その上で、Amazonのシステムはアンチの工作に対して脆弱だと述べ、その改善を訴えておられる。

それを読んでネット上にはいろんな意見があるわけだが、どうもその多くが「アンチ」を、醜悪な、排除すべき、迷惑なものと捉える点では共通してるような印象があり、僕はそれに違和感がある。「アンチ」は悪なのか。


「アンチ」は悪か


たまたま拾って読んだ見知らぬ文庫本がつまらなくてもべつに驚かないが、社会現象にまでなった「1Q84」を読んでみたらつまらなかった、という場合(例です。僕は読んでない)、とりあえず驚くだろう。驚いて、次に、たぶんこう思う。もしかして王様は裸なんじゃないか? とかなんとか。みんな本気でこんなものが好きなのか? とかなんとか。そしてAmazonに、そんなようなレビューを書きたくなるかも知れない。それは嫉妬、やっかみ、私怨の発露とばかりは言えず、世を挙げての翼賛体制に疑問を投げかけるという、むしろ健全な効能がある行為、でもあるはずだ。アンチは醜い、という論調は、そのあたりのことを乱暴に踏みにじってはいないだろうか。踏みにじってしまう可能性はないだろうか。

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というわけで、アンチの存在は害悪なので排除すべし、というような批難から、僕はアンチを擁護したい。「アンチは悪だ」というモデルに対抗する、別のモデルを提案する。「悪いのはアンチではなく、アンチによる(あるいはシンパによる)醜い悪罵や迷惑行為である」というふうなモデルを。

このモデルでは、「アンチ」を「○○って知名度の割につまんなくね?」という意見、また、そういう意見を持ってる人のことだと定義する。みなさんも「○○って知名度の割につまんなくね?」とか思うことって、ありませんか。僕はけっこうある。「○○って知名度の割につまんなくね?」と思うこと自体は、また、そう表明することも、べつに害悪ではない。むしろ健全な側面もある。

で、たぶん、勝間和代には熱心なアンチが多いんだろう。Amazonとは無関係に。そのため、Amazonのレビューに酷評が多い。それだけのことではないのか。

勝間さんは「著者の知名度が広がるにつれて、必ず『アンチ』が生まれます」と、書いている。しかし、よくはわからないが(そもそもここで言われている「アンチ」の定義は不明だが)、少なくとも「有名人には必ずアンチが多い」とは言えないだろう。例えばトッド・ラングレンの知名度は勝間和代よりはるかに高いと思うが、トッド・ラングレンのアンチなんてほとんどいないんじゃなかろうか(想像)。東野圭吾のアンチも少ない(想像。なぜなら駄作が少ないからだ。生き方について指南もしない)。池上彰だと、「もう飽きたし、いい加減ウザい」とか思ってる層が、2010年9月現在、そろそろ少しはいると思う(想像)。大塚愛にはファンも多いがアンチも多い。イチローも、ファンは多いがアンチも意外に多い。GIRL NEXT DOOR や ICONIQ のアンチなら、それはもう、むちゃくちゃたくさんいるに違いない。

GIRL NEXT DOOR ほどじゃないにしても、勝間和代にはアンチが多いのではないか。だとしたら、それが Amazon のレビューに反映されるのは健全なことだ。聖人たれとは言わないが、酷評が多いからといって「わるいひとたちの工作にちがいない」と言いふらすのは、小学生並のメンタリティではないか。

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その上で、アンチによる(あるいはシンパによる)醜い悪罵や迷惑行為(もしあるとすれば)を問題にすればいい。例えば、読まずにレビューする、なんてヤツがいるとしたら迷惑だ。やめて欲しい。まあ、Amazon の勝間本のレビューをざっと見た印象では、読まずに書いてるレビューなんてほとんど存在しないと思うけど。勝間さん自身、アンチについて「そのパワーたるや、尊敬に値します」と書いておられる。たぶん、アンチであることに生きがいを感じちゃってるほどの人が、たくさんいるんだろう。だったらそりゃ読むでしょう。生きがいなんだから。読まずに書いたって、彼らもおもしろくないだろう。

凡人が「アンチをたくさん作りたい」と思ったって、できるもんじゃない。アンチが多いというのはそれはそれで、偉大な才能だ。僕みたいな「勝間本をまだ読んだことがないヤツ」に比べて、彼ら「勝間本が出るたびに喜んで買う」熱心でマニアックなアンチ層には、勝間さんは感謝した方がいいんじゃなかろうか。新刊の売れ行きも好調だそうだし。

「多重投稿は禁じるべきか」「TSUTAYAで借りて観たDVDについてAmazonでレビューすることを禁じるべきかどうか」などについてもいちおう意見はあるが、今回はパス。
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by nobiox | 2010-09-11 21:19 | ├自分用メモ |
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