マーティ・フラウン事件
ゆうべの記事に「反論するなら論理で説明していただきたい」なんて書いてしまったが、僕が阿呆でした。考えてみれば「失礼にあたるかどうか」なんて、論理で説明できる、わけがない。「失礼にあたるかどうか」は、受け手の感情で決まるんだから。

ブラウン vs 落合事件

2006年8月、当時広島カープの監督だったマーティ・フラウンが、こういう発言をした。「他球団のサイン盗みに警告したい。特に中日の監督へ。原さんや古田さんはフェアで尊敬している(大意)」 これに落合博満がむちゃくちゃ怒って、コミッショナーに調査させろ、うちが不正をしてる証拠があるならオレが野球界永久追放でもなんでもいい、その代わり証拠がないなら広島球団にはそれなりの覚悟がどうのこうの(ほんとにそんなこと言ったのかどうか、このへんかなりいい加減な記憶)、それに大してブラウンは「ミスター落合はあまりにもおおごとにしようとしている、極端だ」みたいなことを言って、最終的にはカープの球団社長か何かが謝罪して事件は終わった。

中日ファンである僕も、この時は本気で腹を立てた。オレたちの福留が、井端が、タイロン・ウッズが、不正によって打っていると言うのか。こらブラウン、ちょっとこっちへ来い、と。

トーリ vs 岩村事件

2007年9月、デビルレイズ対ヤンキースの試合。2回表の岩村明憲の打席で、ヤンキースのジョー・トーリ監督が岩村のバットにクレームをつけ、バットは調査のために没収となった。審判団チーフのダナ・デムースは「トーリ監督は、あんな平らに見えるバットを作る製造業者はいないと主張し、合法か非合法かはっきりさせたいと言っていた。我々は彼の要求を尊重する」とコメントした。
その後、3回の裏。デビルレイズのジョー・マドン監督が、アレックス・ロドリゲスのバットにクレームをつけ、同様にバットは没収されることになった。「マドン監督は、バットの内部に飛距離を伸ばす何かがあると抗議している。ルール上、抗議するのは認められているので、それを尊重した」と、デムースは語った。

スゲー。なんという子供じみた連中だろうかと笑ってしまったが、しかし同時にこの時、感心もした。なるほど、ちょっとでも自分の得(あるいは相手の損)になることなら、とりあえず言ってみる、というのがアメリカン・スタイルなのか。1年前のブラウンのあれも、そういうことか。そう思ったら、なぜか僕の中で、ブラウンに対する怒りはきれいに消えた。説明できないが、消えちゃったんだからしょうがない。

花ちゃん vs 中国人事件

なんとかいう韓国のアイドルの追っかけをしてる花ちゃんが、来日イベントを撮った動画をYouTubeにアップしたらしい。そしたら見知らぬ中国人からメールが来た。英語で。あなたの動画に感動しました。中国の○○ファンにもぜひ見せてあげたい。ご存知のように、中国本土からはYouTubeにアクセスできない。だからあなたは、YouTubeにアップした元画像を、私に送ってください。

花ちゃんは即座に丁重に、断りのメールを出した。あれは私個人が撮影したもので、多くの人に見てもらいたいとは望んでいない。だからご要望に添えません。このあたりの花ちゃんの心理は何度聞いてもよくわからないが、たぶん彼女は「軽い肖像権の侵害」に多少の引け目を感じており、彼女なりの美意識で「ごく狭い範囲のともだち公開ならいい」みたいなことにしてるんだと思う。

そしたらすぐに返事が来た。自分が如何に○○を愛してるか。あなたのビデオが如何に貴重か。送ってくれたらお礼に、私のコレクションの中から、もっと素晴らしい動画をあなたに送る。あなたは感激します、必ず。

花ちゃんはめちゃめちゃ憤慨していた。なるほどねえ。さすが中国人だ。花ちゃんそんなに怒んなくてもいいじゃん、たぶんそっちの方がワールドスタンダードなんだよ、と、心の中で思ったが、もちろん口には出さなかった。怒っている女の子と話す時にだいじなのは、正しいことを言うことではなく、聞いて、共感してあげることだ。僕だって学んでいるのだ。

丸田祥三 vs NHKプロデューサー

丸田祥三さんという写真家のところに、NHKのプロデューサーか何かからメールが来たそうだ。突然のメールで失礼いたします。『棄景〈5〉』の表紙に魅せられて購入してしまいました。私はNHKでドラマを創っている者なのですが、今度制作するドラマのタイトルバックの映像に、ヒロインが、あの『棄景〈5〉』の表紙のようなところを、後姿で歩いていく映像を撮りたいと強く思っています。つきましては大変都合の良いお願いで恐縮なのですが、あの写真の撮影ポイントを教えていただけないでしょうか。それと、ああした独特の色味を出すための天候や時間、等々・・・

そうだなあ、アメリカ人や中国人がどう感じるのか興味があるけど、とりあえず今回の件で、多くの日本人がこのメールを失礼と感じる、ということを学んだので、気をつけよう。
[PR]
by nobiox | 2010-08-14 16:16 | ├自分用メモ |
<< イアン・ノット(Ian Kno... | 枡野浩一さんからトラックバック... >>