「盗作かもしれない」 - 丸田祥三 vs 小林伸一郎
みなさんこれを見て思ったことなどを、ぜひブログに書いてください、と言われていたので、
▼「盗作かもしれない」前編(丸田祥三、切通理作、枡野浩一)2010年8月10日 新宿ネイキッドロフト
▼「盗作かもしれない」後編(丸田祥三、切通理作、枡野浩一)2010年8月10日 新宿ネイキッドロフト
を視聴しての感想を書いてみる。まず、枡野浩一さんという人に、とても好印象を抱きました。

裁判をやってるらしいけど、民事なのか刑事なのか、それがそもそもわからない。著作権問題というのは自動的に民事なのかな。たぶんそうだと思う。

1)芸術とは、あるいは写真とは、如何にあるべきものか
2)丸田の写真は小林の写真よりも内容的に優れている
3)小林には廃墟に対する愛がない
4)写真界の現状は憂うべきものである
5)団塊は嫌い
6)印刷所が写真を勝手にいじるのはけしからん
7)小林は丸田の著作権を侵害している
8)ロケハンも創作活動の重要な一部である
9)この問題のせいで業界で丸田祥三という存在を抹消されつつあるのが辛い

というような話が語られるが、1、2、3、4、5、6などは、裁判とはぜんぜん関係ないような気がする。そうでもないのだろうか。

ツイッターというものをよく知らないのでよくわからないが、枡野さんによるものらしい「【だれでも同じ場所を撮れば似た写真になるとか言ってる人がいる。私は自作が先行作に偶然似ていたら恥ずかしい。先行作を知ることもプロの大切な仕事だと思う】盗作について云々する前に必ずこれを見ないと恥だ! http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20100810」というツイット(?)を見た。そう思うのも発言するのももちろん自由だが、裁判の応援としてこういうことを言うのはいいことなんだろうか。芸術家はかくあるべし、とか、プロを名乗るならかくあるべし、とかいう価値観は人間の数だけあっていいわけで、僕としては裁判所にそんなことを判定して欲しくない(いやもちろん枡野さんは「裁判でそのあたりを裁け」だなんてことは全く言ってないので、この発言にひっかかる僕の方がおかしいのかも知れないが)。

◆◆

ともあれ、たぶん7が裁判の争点だろう。これは、、、むずかしいなあ。切通さんによると

丸田祥三氏『棄景』剽窃被害について思う・1 - 切通理作の社会に斬られる

小林氏および彼の弁護側は丸田氏の訴えを、誰かが先に撮った場所で撮ってはいけないのかという問題にすり替えました。

ということだが、これが何故すり替えと呼ばれるのか理解できない。「同じ写真家というフィールドで、口絵写真や記録写真としてではなく、芸術写真として写真集や写真展を行う場所で、丸田氏と類似の作品を発表したことが問題にされている」のだと切通さんは述べているが、例えばガウディの建築をテーマにした写真集とか、ガウディの中でもサグラダ・ファミリアだけをテーマにした写真集とかは、いろんなプロ写真家が出しているだろう。同じフィールドで。芸術写真として。類似の作品を。似たショットはたくさんあるはずだ。そういうのを、先に撮った人が独占権を主張していいものだろうか。よくない、と、僕は思う。金閣寺とかにも、同じようなことは言えるのではないか。

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ただ、しかし、そこで論点8ですよ。その場所(被写体)を発見したこと自体が創作だと。稀少だと。値打ちがあると。苦労もしてるんだからと。だから、同じ写真家というフィールドで、芸術写真として写真集や写真展を行う場所で、場所(被写体)をパクるのはNGなのだよ、と。一般的に誰にでも知られているサグラダ・ファミリアや金閣寺なんかとは事情がまったく違うのだよと。裁判の勝敗を左右するのは8じゃないかと思うんだけど、そこについてあまり掘り下げて語られていないようなのが残念。

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丸田さんのところに、NHKのプロデューサーか何かからメールが来たそうだ。

突然のメールで失礼いたします。『棄景〈5〉』の表紙に魅せられて購入してしまいました。私はNHKでドラマをつくっている者なのですが、今度制作するドラマのタイトルバックの映像に、ヒロインが、あの『棄景〈5〉』の表紙のようなところを、後姿で歩いていく映像を撮りたいと強く思っています。つきましては大変都合の良いお願いで恐縮なのですが、あの写真の撮影ポイントを教えていただけないでしょうか。

このメールの文面はずいぶん会場の失笑を買っていたが、そんな悪いことかな。どんな都合のいいことでも、試しにとりあえず頼んでみるというのは、悪いことだとは思わないんだが。らいしゅうのもくようび、わたしのうちでたんじょう会をやります。1曲歌いにきてください。ギャラはだせません。と、浜崎あゆみにメールを出すとか。そんな悪いことだろうか。むしろ返事をしない方が失礼じゃないか。「お断りします」と一言書くのに、10秒かからないだろう。枡野さんは「常識的に考えて、そんなら丸田さんに仕事として頼めばいいじゃんねえ」というようなことをおっしゃっていたが、それを言うならば丸田さんの方が、興味を持っていただいて感謝します、タイトルバックの監修を(仕事として)引き受けましょう、打ち合わせは私のスタジオであしたの午後2時ではいかが、とかなんとか返事すればいい。実際に、成功者の多くはそういうメンタリティを持っている(想像)。まあそれはともかく。

丸田さんは、その写真1枚を撮るために、いろんな季節、いろんな天気のいろんな時間にその場所に通い、結局16年かかったのだという。オレが16年かけて撮ったものを、メール1本で聞こうとする神経はなんなんだ、と思って無視したそうだ。つまり彼は、場所(被写体)をタダで教えるのはイヤだと、場所(被写体)を教えたら真似される、それは損だ、と考えているわけだ。だったら。

だとしたら、ですよ。場所を明記して発表した写真に関しては、ロケハン独占権を放棄した、と看做されても当然のような気もする。「場所を教えたらパクられるから教えない」というなら、場所を教えたものに関しては諦めるしかないんじゃなかろうか。

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枡野さんのブログによると、丸田さんの主張は「同じ場所の写真を自分以外の人に撮るなと言ってるのではなく、構図が似るにしても、ここまで似るのは……」というものらしく、また、もともと裁判の目的は「丸田さんが被告の写真をパクったのではなく、その逆だったのだ」ということを世間に伝えることだそうなので、まあ、それでいいのかも知れない。

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ところで、最も深刻で最も重大で最も嘘みたいな漫画みたいなとんでもない問題は9である。9については、丸田さんを応援したい、という以外に、とりあえず何と言っていいのかわからない。
まとめサイト

●後記:「丸田祥三 小林伸一郎」でググると、何故なのか妙に上位にこのページが表示されるようですが、さほど大したことは書いてなくて恐縮です。書いた本人としてはこっち「キース・ヘリングの真似してポーズが違うからセーフ」の方がおもしろいと思います)

丸田祥三 VS 小林伸一郎 決着が付いたようだ その1
丸田祥三 VS 小林伸一郎 決着が付いたようだ その2
丸田祥三 VS 小林伸一郎 決着が付いたようだ その3
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by nobiox | 2010-08-13 02:08 | ├自分用メモ |
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