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2012年 05月 07日
日本語は世界でもまれに見る精緻な言語で、単純に単語数だけを見ても、その量は他の言語に比べて突出している。例えば歳時記をパラパラ眺めてみるだけでも、日本語の持つ語彙の膨大さ、表現力の豊かさを、誰もが実感し、納得するであろう。・・・と、こういうことを言うと、100人中85人くらいの日本人が、そうだろうそうだろうその通りだと、うなずくと思う。だけど、それは間違いだ。 いや、間違いは言い過ぎか。言い直します。日本語が多いか少ないかは知らない。ただ少なくとも、大和言葉は少ない。大和言葉のボキャブラリーは、英語や中国語に比べたら、はるかに貧弱である。したがって日本語本来の特徴は「多い」よりもむしろ、「少ない」だ。ソースは、オレ。 ちょっと考えれば明らかだろう。「速い / 早い」「飛ぶ / 跳ぶ」「見る / 観る / 診る」「跳ねる / 撥ねる /刎ねる」「焼く / 灼く / 妬く」「覚める / 醒める / 褪める / 冷める」「急く / 咳く」「吹く / 噴く」「帰る / 返る」「突く / 着く / 付く / 就く」 「触る / 障る」「打つ / 撃つ / 伐つ / 討つ / 射つ」「取る / 撮る / 盗る / 捕る / 獲る / 摂る / 執る」「熱い / 暑い / 厚い / 篤い」などなど、漢字の助けを借りなくては区別できないやまと言葉は、いくらでも思いつく。逆は、ひとつも思いつかない。 「速」と「早」はどっちも「はやい」だが、それは日本語での話であって、中国人にしてみれば全く別の読みを持つ、全く別の語だ。やまと民族が一語で曖昧に済ませていたものを、中華民族はいちいち細かく執拗に偏執的に博覧強記に、本居宣長言うところの「こちたきさかしら心もて」意味合いを分別して、個々に別々の言葉を当てている。そして英語でも、これらの多くは区別される。速いはファーストで、早いはアーリー。飛ぶはフライで、跳ぶはジャンプ。それぞれ全然違う語だ。全然似てない。はっきりした区別がある。大和語は英語や中国語に比べて、非常に区別の少ない、おおらかな言語である。 英語と中国語とどっちが多いか、知らないけど、英語じゃないか。最近 iPhone のおかげで、レティーナという英単語が日本でも有名になった。Retina。網膜。すごいですよ。網膜などという、一生のうちでもそう何度も話題に出ないもののために、専用の単語があるなんて。もちろん「網膜」という二字熟語だって単語だが、専用の度合いが違う気がする。漢字は造語能力が高いので、そこまで専用にこだわらなくても、いろんな熟語を生み出せる。 ◆◆ 「やあジェーン、今日もきれいだね。そのはち切れそうな胸ポケットに、何が入ってるんだい?」 「ハーイ、グレッグ。ゆうべのETVのジャパン特集、見た?」 「おいおい、なんだよいきなり。朝からアニメとヘンタイの話かい?」 「見てないの? アニメの話でもヘンタイの話でもないわ。日本語の話よ」 「日本語ならアニメとヘンタイ以外にも知ってるぜ。ナルトだろ、イチローだろ、アリガト、サヨナラ、フジサン、ガイジンサン、ケッコンシテマスカ・・・」 「日本語にはね、マンスに当たる言葉がないんだって。代わりにムーンを使うの」 「なんだって?」 「ジャニュアリー、フェブラリー、マーチのことを、ワン・ムーン、ツー・ムーン、スリー・ムーンって言うの」 「ジェーン、いくらなんでもワン・ムーンはないよ。せめてファースト・ムーンだろ」 「それが・・・ファースト、セカンド、サードっていう言い方がないんだって」 「へえ・・・そりゃまたずいぶん・・・なんと言うか・・・大昔の話なんじゃないの?」 「いいえ。まぎれもなく現代の日本の話よ。日本語には、デイに当たる言葉もないの。代わりに・・・」 「おい、まさか・・・」 「ピンポーン。そのまさかよ。Sun を使うの。発音は "ひ"」 「OH・・・」 「しかも、日本語の "ひ" は、Fire のことでもあるの」 「そいつは・・・すごいね」 「On、Above、Over の区別もないの。全部、"うえ"。 Below、Under は全部、"した"」 「・・・」 「Need も Must もないんだって」 「え?」 「You must work は日本語で "あなたは・はたらかなくては・ならない"っていうんだけど、これはね、英語に直訳するのがすごくむずかしいの。"あなたにおいて・働かないという選択肢は・アベイラブルではない" だったかな。"あなたが働かないとしたら許されない" かな。とにかく二重否定」 「Must を使わずに Must の意味を表すには二重否定が必要だ、ってことか。大雑把なのか細かいのかよくわからないな」 「さらに、その後半を省略して "働かなくっちゃ" とかって言うんだって。"働かないとしたら"って意味」 「働かないとしたら? したら何?」 「だからー、"働かないとしたら許されない" の "許されない" を省略した形よ」 「結論を省略するの? なんで?」 「さあ・・・」 「それじゃ働く必要があるのかないのか、わかんないじゃないか」 「日本人にはわかるのね。テレパシーじゃないの?」 「さすがに昔の話だよな?」 「いいえ。現代の話」 ◆◆ 「日本人はビーフのことを、カウ肉とかオックス肉って言うの。ポークはピッグ肉」 「ははっ。それじゃチキンはコック肉?」 「それが違うのよっ!! 日本語でチキンはね・・・」 「ジェーン、なんだい? そのテンションは。期待しちゃうよ」 「・・・・バード肉だって!!!!!」 「ワオゥ! 最高だな日本人って」 「感動的なおおらかさよね。こういうのを日本語で "ドンブリカンジョー"って言うのよ」 「だけどジェーン、オレだって馬鹿じゃないんだ。彼らは古来農耕民族で、その・・・肉食関係には・・・」 「そうね。農耕関係は彼らの領域ね。ライスはコメ、ボイルドライスのことはゴハン、とかって、その辺のボリャブラリーは私たちよりも豊富みたい」 「そうだろ。ある言語のボキャブラリーの発達程度は、ライフスタイルによって・・・」 「だけど動詞が、すっごく少ないんだって」 「・・・あまり動かないライフスタイルなのかな?」 「英語の場合、名詞がそのまま動詞として使えることが多いでしょ。マップとか、スケジュールとか」 「グーグルとか」 「そうそう。日本語は動詞の、その、なんて言ったらいいのかしら・・・条件が厳しいのね。新しい動詞が作りにくいのよ。"レイン" に当たる動詞がなくて、レインがフォールする、とかっていちいち言うの。"ドリーム" も、ドリームを見る、とか。"結婚する"っていう動詞もないの。"マリッジをする"って言うの。"LOVE"だってないのよ。"LOVEをする"って言うの」 「よくそんなんで、ウォークマンを発明したもんだな」 「ウォークマンは発明じゃないわ。すでにあったものを組み合わせただけよ」 「だけど、なんか、その・・・会議が長引きそうな言語だね」 「それはわかんないけど・・・ジャンプっていう動詞は日本語で "とぶ" って言うんだけど、フライも "とぶ" で、スキップ、ええと、1、2、3と来て4番をスキップして5、とかっていう時のスキップも、 "とぶ" なんだって」 「Jump と Fly と Skip・・・」 「See と Watch と Nurse もよ。全部 "みる"」 「なるほど。Nurse は英語でも Watch って言うもんね」 「英語ってすごく繊細でしょ。日本人はすごく大雑把なの。Juice も Soup も "しる" だとか」 「そいつはクールだ」 「オーガズムに達することを日本語でなんて言うか知ってる?」 「ジェーン、ナイスな質問をありがとう。あー、んー、・・・・・・・そうだな、"Juice をする" かな」 「もっとシンプルな言葉よ」 「ははん、シンプルね。"Do" かな」 「正解は "Go" よ」 「・・・」 「すごいでしょ」 「ちょっと、鳥肌立った。詩人だよ、日本人ってのは」 「そうなの。私もね、最初はあきれて見てたのよ。なんて原始的で幼稚な言語なのかしら、って。だけどそうじゃないの。たしかに、物事を細かく分類して細かく名前をつけるのも知性のひとつのあり方だけど、分類しないっていうのも、尊重すべきひとつの文化なのよ。食事のためにいろんな形のナイフやフォークやスプーンを使うのも文化、なんでもチョップスティックで食べるのも文化。日本にはハンドバッグもボストンバッグもトランクもないのよ。何でもフロシキを使うの。それが彼らの、エコシステムなのよ」 「バッグがない? ほんとに?」 「ええ。確かよ。ゆうべの番組でそう言ってたもの」 「女子高生もビジネスパーソンも? 日本人ってルイ・ヴィトンのバッグが大好きなんだろ?」 「それは・・・投資目的じゃないの?」 「オレはアニメで "LANDOSELU" と呼ばれるバッグを見たことあるぜ?」 「まあ、例外はあるかもね。もっと凄いことを教えてあげる。"もの" っていう日本語があってね、それがね、Object っていう意味であり、同時に、Person の意味でもあるの」 「・・・」 「"Bigger One" っていう言葉も衝撃だったわ」 「"大きい方" ・・・????」 「どういう意味だと思う?」 「わかった。当てちゃってもいいのかい?」 「もちろん」 「巨根」 「ブーッ。ハズレ」 「巨乳」 「ブーッ。日本語の "Bigger One" にはね、ふたつの意味があるの」 「大金持ち」 「ブーッ。ハズレよ。ふふっ。ひとつはね、紙幣」 「・・・・へえ・・・・なるほど。もうひとつは?」 「ウンコ」 「・・・・からかってるのかい?」 「Oh !、グレッグ、ほんとなんだってば!!! あとね、生理のことは日本語でなんて言うか知ってる?」 「ジェーン、そんなセクシーな目でそんな・・・ええと・・・」 「Object of the moon とか、Touch of the moon って言うんだって」 「Oh... I feel something...mmm............」 「ブルース・リー?」 「ああ、Feel、それは Moonを指差すのと同じだ、とかいう名台詞があったな。だけど・・・」 「Zen?」 「そう、ゼンだ。水墨画の余白が宇宙を表すとか、ボンサイが世界を表すとか、まさにそういう世界観に支えられた言語だ」 ◆◆ 日本語が精緻で単語数が多い、という思い込みの背後には、多い方が必ず偉い、という思い込みがある。 語数が多いほど表現力が豊か、というのは、たぶん多くの場合に真理だろう。が、すべての場合ではない。例えば「人生」と「生命」は、英語ではどっちも「Life」だ。「人生と生命に関しては日本語の方が細かい」と言える。では、人生と生命に関しては日本語の方が豊かな表現が可能なのか。 そういう側面もあるだろう。しかし、そうでない側面もある。「Life is beautiful」というとき、「Life」には「人生、人だけでなく獣や鳥や魚や虫の暮らし、木々や草花の成長と新陳代謝、そして、生命そのもの」という意味がある。たった一語でそれを表現できる「Life」は、いわば、豊かで大きい言葉だ。「英語には人生に当たる言葉がない。代わりに "いのち" と言う」わけだが、このとき同時に逆も言える。「人生」と「生命」と「日々の暮らし」を包摂する「Life」に当たる言葉は、日本語には存在しない、と。 日本人は太陽を「ひ」と呼び、24時間単位の時間区分を「ひ」と呼び、火炎を「ひ」と呼ぶ。大和言葉にはそれらの区別が、ない。そして、区別する方が偉いかどうかは一概に決められない。我々が「日が暮れる」というとき、太陽が沈み陽射しが失われるという意味と、今日という一日が終わりつつある、という意味合いとを、無意識の裡に重ねている。「ひに当たって暖まりたい」というとき、ファイヤーとサンシャインを無意識に重ねている。「ひ」は、豊かな概念だ。「ひ」に当たる言葉は英語には存在しない、とも言える。 ◆◆ 「分類が少ないっていうことは、ひとつの言葉が大きな、豊かな、フレキシブルな、包摂的な概念だってことなのよ。だからハイクは、わずか17音で宇宙を包摂するんだわ。東洋の神秘には、理由があったのよ」 「フロシキのように?」 「そうっ、リョウアンジ・テンプルの石庭のようにね」 「ねえジェーン、これからフレキシブルに学校を抜け出して、ゼンの精神について語り合わないか? 僕たちならきっと・・・」 「きっと、なあに?」 「僕ならきっとジェーンのことを、"Go" させてあげられると思うんだ」 「まあっ、グレッグったら。ふふっ。私のこと "Juice" したいの?」 「決まりだ」 (音楽。画面はフェード・アウト) 2012年 04月 05日
ただの娯楽のはずなのにあまりの素晴らしさに驚いてしまって、その驚きのぶんが突き抜けた感動になる、という映画が、たまにある。エイリアンがそうだ。ブレードランナーもそうだ。ローマの休日もそうだ。キックアスもそうだ。「オールド・ボーイ」もそういう「奇跡の一本」だと思う。編集の、絵と絵のつなぎ方に独特の妙なセンスがあって、まあ狙い過ぎ感がわざとらしいと言えばわざとらしいんだけど、狙ってやれば誰でもできるかというと、やっぱり褒め称えるしかない。「チェイサー」も「グエムル」も良かったけど、「オールド・ボーイ」の凄みは一桁違う。それにしてもどうして日本人には「オールド・ボーイ」「チェイサー」「グエムル」程度のエンターテイメント映画が撮れないんだろうか。ああ、悔しい。見てない方はぜひ、予備知識なしで観てください。以下はネタバレです。エディタにコピペして読んでください。
◆ ◆ この映画が如何に素晴らしいか、について書くのは荷が重いので、遠慮する。代わりに、ミドの記憶について考えてみたい。デスは15年前に何者かに拉致され、理由もわからず15年間監禁され、今日、理由もわからず解放された。たまたま入った寿司屋で、ミドという名の若い女の板前に出会う。このミドとデスが、実は親娘だった、というのがこの映画最大の、衝撃のオチだ。オチだから、もちろんこの時点では観客にそのことは明かされない。もちろん本人同士もそのことを知らない。しかし。 親娘だということは、ミドの父親は15年前に突然失踪し、それきり行方不明ということだ。いま目の前に、どことなく見覚えがあるような無いようなおじさんが現れ、理由もわからず15年間監禁されて餃子を食わされてた、と言う。理由もわからず15年間監禁、って、尋常じゃない話ですよ。えっ、15年? 何故? それで? 以前はどこに住んでたの? ご家族は? 警察には行った? とかなんとか、次々に疑問が浮かぶうちに、自分の父親が失踪したのも15年前だったという事実に、その意味ありげな符合に、はっとしないのだろうか。 さらにそのおじさんに「監禁されてからしばらく後に妻が殺された。ニュースで見た」と聞かされても、ミドは、父の失踪後に殺害された母親と重ねて考えることはない。ミドは、ぼんやりさんなのだろうか。それにしても衝撃のぼんやりさんぶりだ。 その後、おじさんの娘の消息を辿るべく、おじさんの住んでた家の近所の、小さな時計屋を訊ねる。おじさんの住んでた家というのは、幼少時のミドが住んでた家だ。なのに、え、私もこの辺なんだけど、とはならない。時計屋のおばさんに、「ああ、あの娘なら5年前に電話して来て、父親の消息を訊かれたよ」と言われても、自分が電話したことをすっかり忘れている。おかしい。おかしいが、まあしかし、そこまではいいとしよう。ミドは不幸なトラウマを抱えた不幸な少女なんだから、記憶にフタをしているのかも知れない。 だけど「ストックホルム」はダメだ。それはさすがに気付かないと、ヘンだ。えっ? ストックホルム? 私もストックホルムなんだけど、と。 僕は名古屋生まれなので、名古屋出身だという人に会うと、「あ、僕も名古屋です」みたいな反応をする。名古屋という、国内では比較的メジャーな地名ですら、人はそういう反応をする。船橋の人だって、東京で、船橋出身だという人に会えば、「え、オレも船橋っす」ってなるでしょう。船橋という、首都圏ではメジャーな地名ですら、人はそういう反応をするのだ。これがストックホルムだったらどうですか。「えっー!!!、オレもストックホルムで育ったんっすよっ!!!!!」という具合に、かなり強い情動が呼び起こされるはずだ。名古屋や船橋はありふれているけれど、ストックホルムは決定的に珍しい。それに気付かないという設定は、あり得ない。 幼少時に父が失踪し母は殺され、ストックホルムで医師夫妻に育てられた韓国人の少女・・・え? ちょっと待って。私も5歳からストックホルムなんだけど。その子、いくつ? 19? え? 今どこにいんの? わかんないの? え、私もお母さん殺されてんだけど。え? お父さん失踪してんだけど。え? 4歳の誕生日。え? うん。15年前。え? それって私じゃね? あ、電話。国際電話。そういや中学ん時、夏休み、韓国に電話したわ。それ私だわ。おばさん、おばさんと電話で話したの、私だわ。ってことは、え? 何? アジョシがアボジじゃね? と。 ◆ ◆ いったいどういうことなのか。僕が思いつく可能性はよっつある。 1)ミドは生まれてから十数年間の記憶を失っている。 2)催眠術で、偽の記憶をインセプションされている。 3)そうじゃなくて、5年前に時計屋のおばさんにかかって来た電話の方が、 ウジンの偽装工作。実際のミドはストックホルムなんか行ったことない。 4)そうじゃなくて、クライマックスの、例のアルバムこそがウジンの偽装工作。 実はふたりは親娘でもなんでもない。 1はいちばん自然な設定だが、だとしたら、映画として、がっかりだ。記憶がないにも関わらず、それを隠し設定として、「私、記憶ないの」的な台詞がないなんて、卑怯じゃないか。ミドが幼少期から最近までの記憶を失なっていて、ただ気付いたらソウルで板前修業してたんだよ私、と聞かされれば、おっさんだって(というか観客だって)何かを察知したはずなのに。例えば「到底不可能と思われたミッションが魔法のようにあっさり成功する映画」について監督に質問したところ、「ああ、あれはね、実は警備員が全員難聴で盲目、っていう設定なんだ。ただそれは隠し設定で、映画の中では特に説明してないけどね」なんて抜かしやがったらどうですか。そりゃ卑怯だろう。だから1は却下。だから、2か3か4だということになる。 2と3を比べてみよう。3は面白くて鮮やかだけど、だとしたら「4歳の誕生日に父親が失踪した。その後母親を殺された」ことは覚えてるわけだから、やっぱりふつう、思い当たるんじゃないか。無理がある。却下。じゃあ、2か。でもなあ・・・2だったら、最後にウジンが勝ち誇って真相を語るくだりで、少しは触れて欲しい。 「じゃあ、ミドは、ミドはストックホルムで育ったのか? そのことを忘れてるのか?」 「くっくっく、あっはっは、あーっはっはっは。ミドの記憶の中の両親、小学校、クラスメート、全部オレの創作なんだよ。ミドは記憶を失ってること自体に、気付いてない。オレが考えたミドのファーストキスがどんなんか、詳しく聞かせてやろうか? キス以外にもね、くっくっく・・・」 みたいな。そういうの、ちょっと欲しくないですか(説明的過ぎるか?)。 しかし、じゃあ4か、というと、4はいくらなんでも肩すかし感があり過ぎるし、「じゃあ、なぜウジンはミドを選んだか」について、年齢性別以外には必然性が何もないことになる。つまらないので却下。僕としては結局、2だと考えることにしました。いや、他の解釈も可能だ、と思われる方は、教えてください。 ◆◆ さらに後記。説3に転向します。ミドは父の失踪と母の惨殺のショックで、前後の記憶を失っている。しかし大人になれば、5歳以前の記憶がない、なんてことは珍しくもなんともない。子供の頃はフラッシュバックに悩まされた不安定な日々もあったかも知れないが、事件を忘れたい、という潜在意識も手伝い、今となっては5歳からの育ての親を実の両親だと思い込んでいて、記憶喪失の自覚は全くない。ストックホルム云々はウジンが趣味に走って作り上げた創作ストーリーで、5年後にふたりが聞き込みに回りそうな家何軒かに、女優の卵か何かに小金と台本渡して電話させた。ミドはストックホルムなんて行ったことないし、育ての親は医師でもない。というわけでミドは何ひとつ気付かない・・・これでいいじゃないか。どこにも破綻のない、自然な設定だ。 2012年 03月 09日
何故かかっこよく響く言葉、というのがある。例えば検索を「かける」とか。例えば「関係性」とか。
例えば先日のW杯アジア3次予選最終戦、日本対ウズベキスタンの代表戦の後、香川真司はインタビューに答えてこう語ったという。「あの位置(トップ下)に入ったからには、もっと攻撃のリズムを作ったり、スピードを上げなければいけなかった。センターサークル付近で受けたときはうまく前を向いてやれたところもあったが、エリア付近でなかなかボールをもらえなかったし、もらえても効果的なことができなかった。自分がもっと引き付けることだったり、周りとの関係性だったり、なかなかうまくいかなかった」 また例えば、ライムスター宇多丸は映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」について「やっぱ、あの秋葉原の駅のやりとりのとことかなんて、あれだけであの2人の関係性がわかるし、"イヤさ" も伝わるしっていうことで、見事だ」と語っている。 「関係性」とはなんだろう。 「熱帯性低気圧」と言えば、熱帯によくある、熱帯型の、熱帯的な、熱帯色の強い、熱帯固有の、あるいは熱帯由来の、熱帯っぽい低気圧、という意味だ。仮に「プロレス性」という造語を用いるとしたら、たぶんそれは「プロレスっぽさ」というような意味でしょう。「演歌性」は「演歌っぽさ」で、「漫画性」は「漫画っぽさ」でしょう。 しかし「関係性」は、「関係っぽさ」「関係的な」という意味ではないようだ。香川真司もライムスター宇多丸も、単に「関係」という意味で使っている。そうとしか、思えない。「周りとの関係っぽさがうまくいかなかった」「あれだけで2人の関係っぽさがわかる」では、なにを言ってるんだかわからない。 誰も朝食のことを朝食性だとか、電車のことを電車性だとか言わないのに、なぜ「関係」は「関係性」と言われるのか。たぶん、なんとなくかっこいいからじゃないか。たまにデスクトップのことをディスクトップとか、ロバート・フリップのことをフィリップと言ったりする人がいるけど、なんとなくあれと同じ匂いがする。 最近は「プラットフォーム化」が流行だ。プラットフォーム化という言葉の使用例を見ると、大抵は「価値を高める」という意味だと、最近ようやく気付いた。「価値ある基盤を築く」というような意味合いの英文を、何故か肝心の「価値ある」の部分を省略して、日本では「プラットフォーム化する」と言うのである。「ペナルティエリア」を「エリア」と略すのと同じような感じ。僕の理解ではそういうことだ。それは違うぞ、とお考えの方は、どうかコメント欄で教えてください。 ◆ ◆ ちょっとググッてみて、なるほど、と思ったこと。 ・「方向性」「内容性」というのもある。 ・「具体性」というのもある。「具体性」なら僕も使うことある。 ・もしかすると「方向性」も使ったことあるかも。方向と方向性の違いはなんだろう。 ・さすがに「内容性」はないなー。意味がわからない。 2012年 03月 05日
Applescript: Setting the User's home pathname?というページの自分用訳。
質問者:Neotyguy40 ちょいワケありで「dyndata.reg」って名前のファイルを削除する必要があって、 tell application "Finder" set the fileToDelete to alias "Mac HD:Users:Tyler:Library:Preferences:HEAVY Preferences:dyndata.reg" delete the fileToDelete end tell ↑↑↑こういうAppleScriptを書いた。ユーザー名が「Tyler」だけならこれでいいんだが オレは70台のコンピュータについてこれを実行しなきゃならない。ユーザー名も70通り どうすりゃいいのか教えてくれ 回答1:dmmcintyre3 汎用的にホームディレクトリを指定するなら、「~/」って書くんだ Neotyguy40 >1 やってみたけど動かない 回答2:seepel 正解は「set myPath to (path to home folder)」らしいよ ググったら一発だったけど? 人に聞く前にググれ Neotyguy40 >2 ググったし。それに "Getting Home Folder in Applescript"も "Home Directory Applescript"も "Using Applescript to get home folder"も読んだよ だけど動かないんだよ 回答3:mysterytramp これでどうだ set hoNyaLALA to (((path to preferences folder) as text) & "HEAVY Preferences:dyndata.reg") as alias tell application "Finder" delete hoNyaLALA end tell おまえ変数の前に「the」つけてるけどそれもマズいのかも。「the」不要。 あと Snow Leopard の場合、set honyalala の行は 「tell ~ end tell」ブロックの外に置くべし。アップルがそう言ってる Neotyguy40 >3 Ahh, thanks! That works perfectly ! “Command+E”で新規Finderを開くように設定したら超便利な件について - Moxbit 2012年 02月 27日
★★☆☆☆……ちょっとおもしろい。
「敬虔なクリスチャンの3人家族。僕が小学生のとき、母は病に倒れ、天に召された。それから父は一層信仰に傾倒し、僕が高校生のとき、ついに神父となった。そんな父が、恋に落ちる」と、いうのが導入部のシークエンス。どうです、いい話でしょう。例えばクリント・イーストウッドがこれを撮れば、なにげない会話と日常風景の細かい襞に人生の陰影と希望が幾重にも織り込まれた、上等な、美しい映画になるはずだ。園子温はそうはしない。エロ・グロ・扇情を過剰に盛る。デフォルメされた感情表現、学芸会みたいな血しぶき、強烈なキャラとギミックとギャグテイスト。たしかに独創的だ。こんな映画は観たことない。そして、面白い。 「自転車吐息」も「紀子の食卓」もひたすら退屈としか思えなかったが、これは紙芝居のごとく説明的な描写で一連のできごとがぽんぽんと進行し、ネタはいちいちマンガ的で、退屈しない。また、説明的であることを、この監督は恥じない。説明が足りないと思えば臆面もなくモノローグで説明する。 こんな映画は観たことないと思う一方でどこか既視感もあり、「奇跡の出会い」の喧嘩の場面まで来て、気付いた。これは映画としては珍しいかもしれないが、小劇場の演劇だと思って観ると、割とありふれたテイストだ。あるいは、マンガ。羽生生純とか、しりあがり寿とか。 ずいぶん人気があるようで、何度TSUTAYAを覗いてもすべて貸し出し中になっている。そのせいでまだ上巻しか観てない。まあとにかく女子高生は可愛いしエロいし、2時間は退屈しなかったので、ある種の名作ではないか。Amazon の低評価のレビューを読むとほぼ全員が「後半の展開にがっかり」らしいので、この先あまりいい予感はしないけど。 2012年 02月 23日
OS X 10.7 Lion を使ってて今のところ最も理解できないのは「Launchpad」だ。しかし iPhone ユーザー向けにこういうインターフェイスを用意したかった、という意図も理解できるので困ってしまう。これは、たぶん必要な機能なのだ。できることなら僕も、Launchpad を好きになってみたい。
いま Launchpad を起動してみたら、5ページちょっと、204のアプリケーションが表示された。これを「Launchpad-Control」で80以内に絞れば、快適に使えそうな気がする。僕の場合、例えば「Mail」「Safari」「プレビュー」とかは Quicksilver でラウンチするので、Launchpad に表示してもらう必要は全然ないのだ。さて、しかし、それ以上はどういう方針で減らせばいいだろうか。 とりあえずすべてをオフにして、そこから必要なものを追加していくのが吉か。この記事はいずれ加筆する、かもしれません。 2012年 02月 22日
OS X 10.7 Lion には「オートセーブ」と「バージョン」と「再開」という重要な機能が搭載された。人とパソコンの付き合い方を根底から変革するかも知れない重要な機能、なんだそうだ。
アップルと僕とを比べれば、アップルの方に先見の明があることは疑いようもない。アップルが小型ハードディスクに音楽再生機能を載せて売り出すらしい、名前は iPod、と聞いたとき、バカだなあ、そんなもん売れる訳ないじゃん、と思ったのは僕です。椎名林檎作詞作曲でともさかりえが歌う「カプチーノ」というシングルを、聴いた瞬間に大ヒットを確信したのも僕です。すべて、間違っていたのは僕の方だった。「オートセーブ」「バージョン」「再開」も、数年後には人とパソコンの付き合い方を根底から再定義し、僕らを新しい未来へ連れていってくれるのだろう。きっとそうだ。 そうだとしても、だ。今のところは、鬱陶しさしか感じられない。とりあえず「プレビュー」と「テキストエディット」が「オートセーブ」と「バージョン」に対応しているらしいけど、Lion のプレビューは、どうなってんだよこれ、ってくらいに動作がのろい。「オートセーブ」と「バージョン」に関係あるのかな、と、思わざるを得ない。 ◆◆ 「再開」はすごく便利だ、という人も大勢いるらしい。そうなのか。例えば Safari を、あるページを開いた状態で、終了してみる。再び Safari を起動してみる。すると、さっき開いていたページが開く。これが「再開」だ。 さらにややこしいことに、ログオフウィンドウに「再ログイン時にウィンドウを再度開く("reopen windows when logging back in")」というチェックボックスがある。「再開」と「再ログイン時になんちゃら」の関係はなかなか理解しにくいが、前者は「アプリを起動したときにウィンドウを再開する」機能で、後者は「Mac を起動した時に、前回終了時に起動していたアプリを再開する」機能だ。 職場で、一人で残業を片付けた夜、帰り際にしばしエロサイトを眺めたとする。「再ログイン時にウィンドウを再度開く」にチェックしたまま、マシンをシャットダウンしたとする。翌朝、出勤して、Mac の電源ボタンを押し、起動を待つ間、給湯室でコーヒーを入れて席に戻って来てみるとこりゃまたどうしたことだ、さわやかな朝の光の中、勝手に Safari が起動して、見覚えあるようなないようなエロ画像.jpg を表示しているではないか。これが「再開」と「再ログイン時になんちゃら」の機能だ。どうしてくれるんだ。いい加減にしろ。アメリカだったら訴訟ものではないか。 「再開」と「再ログイン時にウィンドウを再度開く」はデフォルトでオンであり、これをデフォルトでオフにする方法は用意されていない。アップルは是が非でもこの機能の素晴らしさを全世界のユーザーに納得させる気満々のようだ。実際、「再開」を便利だと思う人も多いらしい。あきらめよう。この機能をウザいと思う人は、システム終了時に毎回々々「再ログイン時にウィンドウを再度開く」のチェックを外そう。さらに念を入れるなら、すべてのアプリケーションを終了させてからシャットダウンしよう。それしかない。それが、基本だ。 ◆◆ 以下は、基本を外れた裏技探求篇。「Macとかの雑記帳」さんの「OS X 10.7 Lion の『再開』機能を完全に無効にする、たぶん正解じゃないかと思う方法」によると、「再開」を全アプリケーションで無効化する呪文は、ターミナルで defaults write -g ApplePersistenceIgnoreState YESらしい。やってみた。今のところ、無効化されたっぽい。おすすめはしないが、ターミナルとは何のことだかわかる人だけ、試してみてもいいかも知れない。 さらにOS X 10.7 Lion の再起動やログアウトで『再ログイン時にウィンドウを再度開く』を常に無効にする方法もやってみた。確信は持てないが、今のところ、無効化されたっぽい。 2012年 02月 19日
日本の自殺 [「デマかもしれないけど、いい話だからシェアする」がダメな理由] という記事を読んだ。
ハーバード大学の張り紙の話なんて、そんな目くじら立てるほどのものだろうか。僕には、「土光敏夫は抜き刷りを作って財界人に配り(一応事実かどうか知らないという断りをつけてシェアしよう)」というのと、さほど変わらないと思えるんだが。 2012年 02月 17日
70年代後半にブリストルの伝説的なポスト・パンク・バンド、ザ・ポップ・グループを率い、その後マーク・スチュワート&ザ・マフィアやソロ名義で活躍し、今日に至るまで先鋭的なアーティストたちに大きな影響を与え続けているマーク・スチュワート。4年ぶり、ソロとしては7枚目となるニュー・アルバム『ザ・ポリティックス・オブ・エンヴィー』を発表する。おいリー・ペリーってまだ生きてるのか、いくつなんだよ(Wikipedia によると75歳らしい)。 2012年 02月 09日
井上雄彦さんの人気マンガ「バガボンド」が、3月から週刊マンガ誌「モーニング」(講談社)で連載再開の予定であることが8日、明らかになった。10年7月(同誌35号)以来1年半ぶりの再開となる。井上さんが自身のツイッターで「来月あたりバガボンド再開します」とコメントしている。 まじかー。「刃牙」と並んで日本の二大 "いいかげんにさっさと終われよ" 漫画の一角が。しかしオレはもうバガボンドにも刃牙にも興味ないんだよ。さらに言えば、GANTZ にも。 いや、正確にいえば興味はある。ただ、今後の展開には興味がない。どうでもいい。バガボンドなんてさあ、すでに超絶名作なんだから、あとはさっさと終わればよかったじゃないですか。自分で考えて描いてるんだったら、行き詰まるのもわかりますよ。だけどバガボンドは、原作があるんですよ。もう原作通りに運んで、原作通りに終わればいいじゃん。つか、よかった、はずじゃん。井上雄彦が再開しても、どうせ、生と死と宇宙を巡る思念的なモノローグが続くんでしょ。どうでもいいよ。あれはぜんぜん面白くないよ。そんなことよりもさあ。 頼む。お願いします。喧嘩商売を再開してください。僕が生きてるうちにお願いします。 他力本願はよくないな、自分でやったらどうだ、と考えて、僕は、喧嘩商売の続きを自分で描くことを真剣に検討してみました。何度も。だけど、そうして初めてリアルに実感したんだけど、無理なんですよ。すべてが。何度も何度も何度も考えたけど、佐藤十兵衛が石橋強に勝つシナリオが思い浮かばない。どうしても無理だ。頼むよ木多康昭。あんたに描いて欲しいんだ。あんたが描けないなら、僕にメールをください。事情によっては僕がなんとかします。僕にできることなら僕がなんとかしますよ。だから、頼む。2月に再開すると言ってたじゃないか。オレはバガボンドの続きも刃牙の続きもGANTZの続きも、ほとんど興味ない。ただ、喧嘩商売の続きが読みたいんだよ。ネックが金なら、オレが金をなんとかするよ。ネックが人員なら、オレが人員をなんとかするよ。だからさあ、読ませてくれよ。頼むよ。
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